問1
傍線部①の前を見ます。
”ことの外に劣りたる為手も、一向き上手に勝りたるところあり。”を訳すと、劣っている為手も一つ名人より優れているところがある、となります。よって2です。
問2
傍線部②の”まじ”に注目します。「まじ」は「べし」の意味に打消しをつける助動詞で、禁止や不適当などの意味を持ちます。
”すまじき事にてせぬやらむ”を訳した後半部分を見ると、3番と4番は否定の意味になっていないので選択肢から外れます。
次に2番を見ると、”する意味のない”となっていますが「まじ」は強い言い方の助動詞なので、これも違います。よって1番が正解となります。
問3
傍線部の文章を見ると、「などか」という疑問詞から始まり、「む」で終わっています。
このような形の時、文章は疑問か反語のどちらかの可能性があります。
傍線部の次を読むと、”されば、〜”と前の内容を受けて筆者の考えを述べています。
もし傍線部が疑問の意味なら、次に来るのは疑問文に答えを出す内容になるはずです。そうではなく、傍線部の内容を受けて論を展開しているので、反語と解釈できます。
傍線部を反語として訳すと、「どうしてどの向きもしないだろうか、いや、する」となります。「どの向き」とは何のことかは文脈を見て、判断します。能が上達するためのあらゆること、というぐらいの意味でしょう。
これで、解答は③と判断できます。
問4
傍線部④の次を見ると、”工夫はなくて慢心あるゆゑなり。”と続きます。この意味に沿うのは、③の選択肢です。
問5
まずは傍線部の「に」とその前の言葉がつながっているか、切れるかを見ていきます。
つながっているなら副詞の一部か形容動詞の活用語尾です。
副詞は活用せず、形容動詞は活用するので見分けることができます。
切れるとき、さらにその前の言葉が文か単語かを見ます。
文のような固まりなら接続助詞、単語なら助動詞や助詞の可能性が高いです。また、用言の連用形なら完了の助動詞と分かります。
a 上にあるのは名詞なので格助詞か断定の助動詞に絞れます。断定で訳すと文意が通りづらいので、格助詞です。
b 「たがひに」という言葉の一部なので副詞の一部です。
c 「不思議に」という言葉を「不思議なり」など形容動詞の活用表に当てはめてみると、違和感がありません。よって形容動詞の一部と分かります。
問6
まずは傍線部を含む文章全体の意味を考えます。
傍線部以外のところの現代語訳は「そうではあるが、能力と工夫を極めている人は”これを知るべし”」となります。
次に、傍線部の前のところを見ていきます。
この段落は、上手な人も下手な人も互いに自分の欠点を尋ねることで上達しようという話をしていました。
選択肢1は支援者や雇い主とありますが、その話題は今回出てきません。
2は頑固さの話は出てきていません。
3も自分の能力が偶然かどうかという話は出てきません。どうやって上達するかの話ですからね。
残るは4ですが、上達するために何をすべきかを知っているというのは前の文章の流れとも合っています。
よって解答は4です。
問7
傍線部を含む文章全体を読んでいきましょう。
真ん中当たりにある、「あらば」という表現に着目します。
これは「未然形+ば」で「もしこうならば〜、となる」という仮定条件を表します。
つまり、
文章の前半が条件→後半が結果、という関係がある訳です。
ということは、前半の内容に沿った内容の選択肢が解答となります。
ただし、そこだけでは文意が読み取れないので、段落の最初から見ていきましょう。
この段落は、上手な人がさらに能が上手になる方法について述べています。
傍線部を含む文章について、主語は上手(な人)です。能が上達するために、自分より下手な人でも良いところがあれば真似をするべきと説いています。
しかし、「我より下手をば似すまじき(自分より下手な人の真似などしない)」という心があるとそれができないと書かれています。
よって解答は1です。
問8
ⅰ 「ぬ」は完了か打消の意味があります。今回は接続では見分けられないので、文意を考えます。
問7のところで言及しましたが、ここは自分より下手な人の良い所を取り入れたがらない上手な踊り手についての話でした。これでは上達しないと筆者は言いたいので、解答は打消です。
ⅱ 「らむ」の意味に該当する選択肢は現在推量のみです。
ⅲ 「る」と活用する助動詞は完了の「り」か受身などの「る」です。存続以外は「る」の形を取る助動詞はありません。よって存続です。
問9
前の段落で上手な人がさらに上手になるための方法を話しました。
次は、下手な人がどうやったら上手になるかについての話をしています。
“人にも尋ね、工夫をいたさば”というのは既に上達する方法として言及されていました。それをしたら上手くなるのですから、Aはそのような内容の選択肢が当てはまります。よって③です。
念の為Bの内容を確認して、選択肢を当てはめても不自然ではないか見ましょう。
Bにつながる文章のところでは、傲慢のあまり年を取っても上達しない人の例が述べられています。選択肢が不自然でないとわかりましたので、確認も大丈夫です。
問10
まず、ここの”能”はリード文から読み取るに能楽のことです。能率のことではありません。
次に、「いわんや」という単語は「まして」という意味があります。上手な人ですら”上慢”あらば能楽が下手になるということですから、上手でない人はもっと、という意味になります。以上から解答は2です。
問11
傍線部を含む段落は、上手な人も下手な人も相手に良い所があったら取り入れるべきだという話をしていました。よって2です。
問12
この話における「位」とは、力量やそれに伴う品位品格と注で説明されています。
「いたづら」とは無駄という意味です。
よって解答は1です。
問13
傍線部を含む段落の始まりから見ていきます。「位」は生まれつきのものなので、得ようと思って得られるものではない。考えたところで意味がなく、かえって「位」から遠ざかる。とあります。
傍線部の後ろの内容を見ると、稽古した分も意味がなくなると書かれています。
元々の能力がないのに、稽古した分まで駄目になってしまう。
この内容に当てはめて自然なのは、4です。
問14
この話は純粋に能楽の能力の話をしており、汚名は関係ないのでまずは1と2に絞られます。
「出で来る」は認識するといった意味はないので、解答は1です。
問15
「幽玄」に到達する方法について言及はありません。よって2と4は違います。
「長」と「嵩」は別物たと言及されています。よって3は違います。
内容を見ても、1は本文に即しています。よって1が解答です。
問16
俊頼髄脳が歌論書です。
海道記は紀行文。閑吟集は歌謡集。御伽草子は物語集です。
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